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水漏れの修理や被害の復旧には、思った以上のお金がかかります。ここで知っておきたいのが、加入中の保険です。結論から言うと、突発的な事故による水漏れ被害は、火災保険などでカバーできる可能性があります。一方、経年劣化によるものは対象外が一般的です。
この記事では、水漏れに使える4種類の保険の使い分けと、火災保険で補償される範囲、請求の流れと必要書類、使えないケースの見分け方までを、元・水道設備会社の社長の視点でわかりやすく解説します。読み終えると、自分のケースでどの保険に連絡すべきかがわかります。
【結論】まずこの3つだけ
- 突発的な事故なら保険対象になり得る
配管の破裂・上階からの漏水・凍結などが典型例 - 経年劣化は対象外が一般的
ただし劣化が原因でも「漏れた水による二次被害」は対象になることがある - 使う保険は「誰の・どこの被害か」で決まる
自分の家=火災保険/他人への賠償=賠償責任保険
水漏れに使える保険は4種類【早見表】
![4-Types-of-Insurance-for-Water-Leaks-[Quick-Reference-Chart]](https://maintenance-note.com/wp-content/uploads/2026/07/4FAFE7FC-5905-4824-ABD1-79AE08DCA2FE.jpg)
水漏れで使える保険は1つではありません。「誰の・どこの被害を補償するか」で、出番の保険が変わります。まず全体像を押さえてください。
| 被害の内容 | 使う保険 | 誰が加入 |
| 自分の家の建物・家財が濡れた | 火災保険(水濡れ補償など) | 自分(持ち家) |
| 階下など他人に被害を与えた | 個人賠償責任保険 | 原因を作った人 |
| 借りている部屋に損害を与えた | 借家人賠償責任保険 | 入居者(賃貸) |
| マンション共用部が原因の被害 | 管理組合の保険 | 管理組合 |
たとえば、上の階の漏水で自分の部屋が濡れたなら「相手の個人賠償責任保険+足りない分は自分の火災保険」、自分の洗濯機ホースが外れて階下を濡らしたなら「自分の個人賠償責任保険(賃貸なら借家人賠償も)」という組み合わせになります。次章から、1つずつ見ていきます。
火災保険で補償される水漏れ【自分の建物・家財】

「水濡れ補償」の対象になるケース

火災保険は火事だけの保険ではありません。多くの契約に「水濡れ補償」が含まれており、給排水設備の事故や、他の部屋で生じた事故による漏水で、自分の建物・家財が濡れた被害を補償します。配管の突然の破裂で床が水浸しになった、上階からの漏水で天井と家具が濡れた、などが典型例です。
重要なのは、「配管そのものの修理費」と「漏れた水による被害の復旧費」は別物という点です。水濡れ補償が支払うのは主に後者(床・壁・天井・家財の復旧)で、劣化した配管自体の交換費用は対象外が一般的です。経年劣化が原因の漏水でも、二次被害の部分は対象になることがあるため、自己判断で諦めず保険会社に確認してください。
凍結による破裂には「水道管凍結修理費用保険金」

冬の凍結で水道管が破裂した場合は、「水道管凍結修理費用保険金」という補償が使える契約があります。これは例外的に、配管そのものの修理費を一定額まで補償するものです。凍結破裂が多い地域では、心強い補償です。
補償の有無と上限額は契約によって異なるため、保険証券か保険会社のマイページで確認してください。凍結破裂では、この保険金(配管の修理)と水濡れ補償(濡れた床・家財の復旧)の両方が使えるケースもあります。
» 水道管が破裂したときの対処法と費用
» 水道管が凍結したときの対処法
「水災」補償との違いに注意

混同しやすいのが「水災」補償です。水災は、台風・豪雨による洪水や土砂災害など、自然災害による浸水被害を対象とする別の補償です。給排水設備の事故による水漏れ(水濡れ)とは、請求する補償の種類が違います。
保険会社への連絡時に「配管からの水漏れ」なのか「大雨による浸水」なのかを正しく伝えないと、話が噛み合わず手続きが遅れます。窓を開けたままにして雨が吹き込んだ、といったケースはどちらの補償でも対象外が一般的です。原因を正確に伝えることが、スムーズな請求の第一歩です。
個人賠償責任保険【他人への被害を賠償】
![Personal-Liability-Insurance-[Compensation-for-harm-caused-to-others]](https://maintenance-note.com/wp-content/uploads/2026/07/D912E07C-209B-417D-A785-ABCF8BADCB81.jpg)
自分の部屋の水漏れで階下の住人に被害を与えてしまった場合に使うのが、個人賠償責任保険です。日常生活で他人に与えた損害を賠償する保険で、火災保険・自動車保険・クレジットカードの特約として付いていることが多く、加入に気づいていない方も少なくありません。まず手持ちの契約を総点検してください。
洗濯機の給水ホースが外れて階下を水浸しにした、お風呂の水を溢れさせた、といった過失による事故が典型例です。注意点は2つ——①自分の部屋の被害はこの保険では補償されない(自分の火災保険の担当)、②故意や重大な過失は対象外——です。階下への被害は賠償額が数十万〜数百万円になることもあるため、未加入の方はこの機会に特約の追加を検討する価値があります。
» 天井からの水漏れ対策(階下・上階トラブルの対応)
借家人賠償責任保険【賃貸の方はこちら】

賃貸にお住まいの方は、入居時に加入した保険(少額短期保険など)に「借家人賠償責任保険」が付いています。これは、借りている部屋そのものに損害を与えてしまったとき、大家さんへの賠償を補償する保険です。水漏れで部屋の床や壁を傷めた場合の原状回復費用が典型例です。
個人賠償責任保険との違いを整理すると、「大家さん(部屋)への賠償=借家人賠償」「階下の住人など第三者への賠償=個人賠償」です。入居時のセット保険には両方が含まれていることが多いので、契約書か保険証券で確認してください。なお、経年劣化による設備の故障は貸主の負担が原則なので、賠償の話になる前に、まず管理会社へ連絡して原因の確認を受けるのが先です。
» 水道管の水漏れ修理方法|賃貸の連絡手順
マンション管理組合の保険【共用部が原因のとき】

分譲マンションで、共用部分(縦管・屋上・外壁など)が原因の水漏れなら、管理組合が加入するマンション総合保険の出番です。自分の保険を使う前に、原因が専有部分か共用部分かを確認する必要があります。この判断は素人には難しいため、被害に気づいたらまず管理会社・管理組合に連絡してください。
管理組合の保険には「原因調査費用」の特約が付いていることが多く、漏水の原因がどこにあるかを調べる費用が保険でまかなえる場合があります。原因が共用部と判明すれば、修理も被害の賠償も管理組合側の対応になります。自己判断で業者を入れて壁を開けたりせず、調査の段取りは管理組合経由で進めるのが、費用面でも手続き面でも確実です。
保険金請求の流れと必要書類

請求の成否は、初動で決まります。
被害に気づいたら次ぎの3点セットを実行してください。
- 止水栓・元栓を閉めて被害の拡大を止める
- 片付ける前に写真を撮る(被害箇所のアップ+部屋全体の引き+濡れた家財)
- 保険会社と(賃貸・マンションなら)管理会社へ連絡する
きれいに拭き取ってからでは、被害を証明できなくなります。
» 水道の元栓と止水栓の違い・場所の探し方
請求に必要な書類は、保険金請求書、事故状況の説明書、被害の写真、修理業者の見積書(修理後なら領収書・修理報告書)が基本です。見積書は、原因の記載がある詳細なものほど審査がスムーズです。提出後は保険会社の査定(必要に応じて鑑定人の現地確認)があり、認定されれば1週間〜数週間で保険金が振り込まれます。
見積書の作成は、水道局指定工事店に頼むのが確実です。原因の特定と書類の記載に慣れており、水道料金の減額申請に必要な証明書も発行できます。出張・見積もり無料の業者をまとめました。
» 水道料金の減額申請のやり方
保険が使えないケースと注意点

保険が使えないケース
対象外の代表は3つ
- 経年劣化
配管やパッキンの寿命による漏れは、「予測できた損害」として配管修理費が対象外になるのが一般的です。 - 故意・重大な過失
蛇口の閉め忘れを長時間放置した等は、認められないことがあります。 - 免責金額未満の被害
契約で自己負担額(免責)が設定されている場合、それを下回る少額被害には保険金が出ません。
絶対にやってはいけないのが、虚偽の申告です。経年劣化を突発事故と偽る、被害額を水増しする——これらは保険金詐欺にあたり、契約解除や法的責任につながります。関連して、「保険金を使えば無料で直せる」と勧誘してくる申請代行業者にも注意してください。高額な手数料を取られたり、虚偽申請に巻き込まれたりする被害が実際に起きています。請求は難しくなく、自分でできます。
まとめ

水漏れの保険は、「自分の家の被害=火災保険(水濡れ・凍結修理費用保険金)」「他人への賠償=個人賠償責任保険」「借りている部屋=借家人賠償責任保険」「共用部が原因=管理組合の保険」の4本立てで考えてください。突発的な事故は対象になり得ますが、経年劣化の配管修理費は対象外が一般的です。
請求のカギは初動の3点セット——止水・修理前の写真・すみやかな連絡——です。見積書は指定工事店に依頼し、水道料金の減額申請もあわせて進めれば、負担は最小限にできます。まずは保険証券を開いて、水濡れ補償と賠償特約の有無を確認するところから始めましょう。
川嶋文雄|元・水道設備会社 社長(業界31年)
水道の現場・管理・経営を31年経験して引退。業界のしがらみのない立場で、水まわりで損をしないための判断の仕方を発信・監修しています。