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- エアコンが壊れたら修理と買い替え、どちらがいい?
- エアコンの修理費用はどのくらい?
- エアコンが壊れたら誰に相談すればいい?
エアコンの不具合に直面すると、どのように対処すれば良いのか悩む人は多いです。間違った対応を行うと、余計に費用がかかる場合もあります。この記事では、エアコン修理の基本的な知識から修理費用、買い替えの判断基準について解説します。
記事を読めば、エアコンに関するトラブルを理解し、適切な選択ができるので参考にしてください。エアコンが故障した際の適切な対処法を知り、コストを抑えながら、エアコンを長く使い続けましょう。
エアコン修理に関する基礎知識

エアコンは冷房や暖房が効かない場合や、異音や水漏れなどの症状が現れたときに修理が必要です。 故障の原因は、フィルターの詰まりや冷媒ガスの漏れ、電子部品の不具合などです。エアコンの平均寿命は10〜15年程度ですが、使用環境やメンテナンスの頻度によって異なります。
エアコンの故障が疑われる症状

エアコンの故障が疑われる症状はいくつかあります。症状が出たら、早めに専門の修理業者に相談してください。診断と修理を適切にすると、エアコンが長持ちします。トラブルや修理費用の増加も避けられます。故障が疑われる症状は、以下のとおりです。
- 冷却または暖房効果の低下
- 異常な音や振動の発生
- 異臭
- 電源の遮断
- 水漏れ
- 明らかな風量の減少
- エラーコードの表示
- 室内機または室外機からの異常な熱感
エアコンの故障の原因

エアコンの故障原因は一つではなく、さまざまな要素が絡み合って発生します。定期的なメンテナンスと適切な使用が、トラブルを避けるために重要です。エアコンが故障する原因は、以下のとおりです。
- フィルターの詰まり
- 空気中のホコリや汚れを取り除くフィルターが詰まると、空気の流れが悪くなります。エアコン自体の効率が下がると、故障しやすいです。
- 冷媒ガスの漏れ
- 空気を冷やす冷媒ガスが漏れると、エアコンの冷却能力が低下します。冷媒ガス漏れが発生する主な原因は、配管の劣化や接続部分のゆるみなどが挙げられます。
- 電子部品の故障
- エアコン内部の電子部品や電子制御系のトラブルも、エアコンが作動しなくなる原因の一つです。ファンモーターや圧縮機などの主要部品の故障も、エアコンの効果を著しく低下させます。
- 不適切な使用環境
- 直射日光が常に当たる場所での設置も、エアコンの故障につながりやすいです。特に夏場の直射日光が当たる場所に室外機が設置されている場合、冷却がうまくいかずコンプレッサーが過熱します。
エアコンの寿命

エアコンの寿命は約10〜15年です。エアコンの寿命を延ばすために、フィルターの清掃や専門家による点検などの定期的なメンテナンスを行ってください。エアコンの使用環境も寿命に影響します。たばこの煙やキッチンの油煙、多量の塵埃などがある環境では、エアコンが通常より早く劣化するので、注意しましょう。
一日中エアコンを使用したり、熱がこもりやすい場所に設置したりするのもエアコンの寿命を縮めます。製造から10年以上経過すると故障が増え、効率も低下するため、新しいモデルへの買い替えを検討しましょう。
» エアコンの寿命や買い換えの判断ポイントを解説!
エアコンが故障したときの基本フロー

エアコンの故障が疑われる場合、すぐに業者に連絡する前に、ご自身で確認すべきことがいくつかあります。このステップを踏むことで、簡単な見落としによる「勘違い故障」を防ぎ、修理を依頼する際もスムーズに情報が伝わります。
- まずは「電源・リモコン・ブレーカー」をチェック
- 保証書・購入店・型番ラベルを確認する理由
- 「今すぐ止めるべき症状」と「様子を見てもよい症状」
まずは「電源・リモコン・ブレーカー」をチェック
エアコンが動かない原因は、故障ではなく単純な操作ミスや電源トラブルであることも少なくありません。業者を呼ぶ前に、必ず以下の3点を確認してください。「故障かも?」と思ったら、まずこれらを確認しましょう。これだけで復旧するケースも多く、もし業者を呼んだ後にこれらが原因だった場合、修理費は不要でも出張費を請求される可能性があります。
<セルフチェックリスト>
- リモコン
- 電池切れではありませんか?液晶は表示されていますか?一度、新しい電池に交換してみてください。運転モード(冷房・暖房・除湿)や設定温度は適切ですか?
- 電源プラグ
- コンセントにしっかり刺さっていますか?一度抜き、数分待ってから再度差し込んでみてください(リセット効果)。
- ブレーカー
- 自宅の分電盤を開き、エアコン専用のブレーカー(または全体のブレーカー)が「切」になっていませんか?落ちている場合は「入」に戻してみてください。
これらの確認作業は、誰でも簡単に行えます。特に、落雷の後や、他の家電を同時に使ってブレーカーが落ちた後などは、このチェックで解決することが多いです。ただし、ブレーカーを「入」に戻してもすぐにまた落ちてしまう場合は、エアコン本体や配線のショートが疑われるため、それ以上触らずに専門業者に連絡してください。
保証書・購入店・型番ラベルを確認する理由
セルフチェックで復旧しない場合、次に修理を依頼するための情報を集めます。特に「保証書」と「型番」は非常に重要です。これらの情報が手元にあるかないかで、修理費用の負担や、相談先への連絡のスムーズさが大きく変わるからです。慌てて業者を探す前に、まずこの確認作業を行ってください。
<確認すべき情報>
- 保証書
- メーカー保証(通常購入から1年)や、家電量販店などの延長保証(5年・10年など)の期間内か確認します。保証期間内であれば、無償または安価で修理が可能です。
- 購入店・購入日
- いつ、どこで購入したか(レシート、メール、アプリの購入履歴など)。延長保証に入っている場合、連絡先はメーカーではなく購入店になります。
- 型番・製造年
- エアコン室内機の下面や側面、または室外機の側面に貼られているシール(銘板ラベル)を確認します。「CS-XXXX」「RAS-XXXX」といった型番と、「20XX年製」という製造年が記載されています。
これらの情報は、修理の受付時に必ず必要となります。特に型番が分からないと、業者は修理に必要な部品を特定できません。保証期間が切れているかどうかも、次に紹介する「どこに相談すべきか」を判断する上で重要な基準となります。相談を始める前に、これらの情報をメモなどに控えておきましょう。
「今すぐ止めるべき症状」と「様子を見てもよい症状」
エアコンの不具合には、緊急性の高い危険な症状と、様子を見てもよい(またはセルフケアで直る可能性がある)症状があります。危険な症状を放置すると、火災や感電、本体の重大な損傷につながる恐れがあります。以下のサインを見逃さず、すぐに対処してください。
<症状別 緊急度チェック>
| 緊急度 | 症状の例 | 対処法 |
| 高(危険!) | ・焦げ臭い匂いがする ・「ボンッ」「ガタガタ」などの異常な音 ・電源プラグやコードが異常に熱い ・ブレーカーを上げてもすぐ落ちる ・室内機から煙が出ている | すぐに運転を停止し、電源プラグを抜く(またはブレーカーを落とす)。 絶対に再稼働させず、メーカーや専門業者に緊急点検を依頼してください。 |
| 中 | ・室内機から水がポタポタ漏れる ・冷え(暖まり)が極端に悪い ・室外機が動いていない(ファンが回らない) ・リモコンにエラーコードが表示される | 運転を停止し、電源プラグを抜いてください。 水漏れは床が濡れないようタオルなどで対処しましょう。 (水漏れはドレンホースの詰まり、冷暖房の不調はガス欠やフィルター詰まりの可能性があります) |
| 低 | ・運転開始時に少し酸っぱい匂いがする ・運転音が少し大きくなった気がする ・フィルター掃除のランプが点灯した | フィルターの汚れや内部のカビが原因のことが多いです。 まずは取扱説明書に従い、フィルター清掃などご自身でできるメンテナンスを試してみてください。 |
最も重要なのは、「焦げ臭い」「異常に熱い」といった火災につながる兆候を見逃さないことです。これらの症状が出た場合は、絶対に使用を続けないでください。「様子を見てもよい症状」であっても、フィルター清掃やドレンホースの確認(詰まりがないか)をしても改善しない場合は、専門家による点検が必要です。
特に冷媒ガスが不足して冷えが悪い場合、ガスの補充には専門の技術と資格が必要になるため、ご自身で対処することはできません。症状が改善しない場合は、無理をせず相談しましょう。
状況別:エアコン修理はどこに相談すべきか?

エアコン修理の相談先は、主に「メーカー」「購入店(家電量販店など)」「地域の専門業者」の3つに分けられます。どこに頼むのが最適かは、保証期間が残っているか、何を重視するか(安心感、早さ、安さ)によって異なります。
- メーカー修理が向いているケース(保証期間内・高機能機種など)
- 購入店(家電量販店・ネットショップ)に依頼すべきケース
- 地域の電気工事店・エアコン専門業者が向いているケース
- 24時間・即日対応業者を使うときの注意点
メーカー修理が向いているケース(保証期間内・高機能機種など)
エアコンの購入から1年以内(メーカー保証期間内)の場合は、まずメーカーのサポートセンターに連絡するのが基本です。保証期間内であれば、修理費用は原則として無料(※使用者の過失を除く)です。メーカーの技術者が直接対応するため、修理の品質や使用部品(純正部品)に対する安心感が最も高い方法です。
また、保証期間が切れていたとしても、AI搭載モデル、加湿・換気機能付き、お掃除機能が複雑なハイエンドモデルなどは、メーカーへの依頼が推奨されます。これらの高機能機種は内部構造が複雑で、修理には専門知識と専用の部品が必要です。地域の業者の場合、対応できる技術者がいなかったり、部品の取り寄せに時間がかかったりする場合があります。
ただし、メーカー修理は、特に夏場や冬場の繁忙期には予約が殺到し、訪問までに1〜2週間以上かかることもあります。安心感を最優先する場合や、複雑な機種の場合に適した選択肢です。
購入店(家電量販店・ネットショップ)に依頼すべきケース
家電量販店などで購入する際に「5年保証」「10年保証」といった独自の延長保証に加入している場合は、メーカーではなく、まず購入した販売店に連絡してください。延長保証は販売店が独自に提供しているサービスであり、修理の受付窓口も販売店となります。メーカーに直接連絡してしまうと、延長保証が適用されず、有償修理扱いになってしまう可能性があるため注意が必要です。
購入時のレシートや保証書が手元になくても、お店のアプリや会員カードの購入履歴から保証情報を確認できる場合も多いです。延長保証の期間が切れている場合でも、購入店が修理窓口としてメーカーへの取り次ぎを代行してくれることもあります。どこで買ったか明確な場合は、まず購入店に相談してみるのがスムーズです。
ネットショップで購入した場合も同様に、サイト上の購入履歴や保証サービスの窓口を確認してください。
地域の電気工事店・エアコン専門業者が向いているケース
メーカー保証も、販売店の延長保証もすべて切れている場合、修理費用は全額自己負担となります。この場合、地域の電気工事店やエアコン修理の専門業者に依頼するのが有力な選択肢です。メーカー修理に比べて、料金が安価に設定されていることが多いのが最大のメリットです。地域密着型の業者であれば、出張費が安かったり、電話一本で迅速に駆けつけてくれたりするフットワークの軽さも期待できます。
ただし、業者によって技術力や料金設定、対応の質にばらつきがある点には注意が必要です。可能であれば、複数の業者に見積もりを依頼する「相見積もり」を取り、料金や作業内容を比較検討するのが理想です。
信頼できる業者を見つけるには、ウェブサイトでの施工実績の確認、口コミのチェック、または地元の知人からの紹介などが参考になります。「冷えない」「水漏れ」といった比較的よくある症状で、製造から年数が経っているエアコン(おおむね5年以上)の場合は、地域の専門業者を検討する価値が高いです。
24時間・即日対応業者を使うときの注意点
「真夏日にエアコンが停止し、今すぐ直したい」という緊急事態には、「24時間受付」「即日対応」を謳う業者が目につきます。すぐに来てくれるのは非常に心強いですが、依頼する際には十分な注意が必要です。これらの業者は、迅速な対応が可能な反面、料金が割高に設定されていることが多いためです。深夜・早朝料金、緊急出張費などが上乗せされ、想定外の高額請求につながるケースもあります。
特に気を付けたいのは、電話では曖昧な見積もりを提示し、実際に現場へ来てから高額な修理を持ちかけてくる業者です。依頼の電話をする時点で、必ず「出張費はいくらか」「最低作業料金はいくらか」「作業前に見積もりを提示してくれるか」「キャンセル料は発生するか」を明確に確認してください。インターネットの広告やマグネット広告の業者に安易に飛びつかず、料金体系が明瞭な業者を選ぶことが重要です。緊急時であっても、冷静に情報を確認する姿勢がトラブルを避ける鍵となります。
賃貸・持ち家・店舗で相談先と費用負担が変わるポイント

エアコンの修理は、住んでいる建物が「賃貸」か「持ち家」か、または「店舗」かによって、連絡先や費用負担のルールが根本的に異なります。特に賃貸物件の場合は、ご自身の判断で修理を依頼する前に、必ず確認すべきステップがあります。
- 賃貸(まず大家・管理会社に連絡すべき理由)
- 持ち家(保証・延長保証・火災保険の確認)
- 店舗・事務所(業務用エアコンと業者選びの注意点)
賃貸(まず大家・管理会社に連絡すべき理由)
賃貸マンションやアパートに「備え付け」られているエアコンが故障した場合、絶対に自分で修理業者を手配してはいけません。まず最初に行うべきは、大家さん(貸主)または管理会社への連絡です。そのエアコンの所有者はあくまで大家さんであり、民法上、貸主は入居者が設備(エアコン含む)を通常使用できるように維持・修繕する義務を負っているからです。
ご自身の判断で勝手に業者を呼んで修理してしまうと、その修理費用は全額自己負担になってしまう可能性が非常に高いです。貸主が指定する業者が決まっている場合や、貸主側で修理方法を判断したいためです。
ただし、ご自身の過失(掃除を全くしなかった、タバコのヤニで汚した、物をぶつけて壊したなど)が原因で故障した場合は、修理費用を請求されることもあります。いずれにせよ、備え付けのエアコンの不調は、まず大家・管理会社に報告し、その後の指示を仰ぐのが鉄則です。
持ち家(保証・延長保証・火災保険の確認)
持ち家(戸建て・分譲マンション)の場合、エアコンの修理費用はすべて所有者であるご自身の負担となります。そのため、いかに費用を抑えるかが重要です。まず確認すべきは、「メーカー修理」「購入店に依頼」で解説した「メーカー保証」および「販売店の延長保証」が使えないかです。保証期間内であれば、これを最優先で活用してください。
保証が切れている場合、もう一つ確認すべきなのが「火災保険」です。エアコンの故障原因によっては、火災保険(家財保険)が適用されるケースがあるからです。適用される可能性があるのは、「落雷」によってエアコンの基盤がショートした場合、「台風」などの強風で室外機が転倒・破損した場合、「(外部からの)物体の衝突」で破損した場合などです。
「経年劣化」や「寿命」による自然故障は対象外ですが、自然災害が原因の可能性がある場合は、契約している保険会社に相談してみる価値があります。
店舗・事務所(業務用エアコンと業者選びの注意点)
店舗や事務所、ビルなどに設置されている「業務用エアコン(パッケージエアコン)」は、家庭用エアコンとは全くの別物です。修理を依頼する場合は、必ず「業務用エアコン専門」の業者に連絡してください。
業務用エアコンは、家庭用に比べて構造が遥かに複雑で、パワー(馬力)も大きく、修理には専門的な知識、技術、資格(冷媒フロン類取扱技術者など)が必要です。家庭用エアコンの修理業者は、原則として対応できません。また、店舗や事務所のエアコンがリース契約になっている場合は、修理の窓口や費用負担はリース会社(またはリース契約に含まれる保守会社)になります。まずリース契約書を確認してください。
業務用エアコンの故障は、営業や業務に直結する重大な問題です。日頃から定期的な保守点検契約を結んでおくと、万が一の故障時にも迅速に対応してもらえるため、安定した運用につながります。修理費用も高額になりがちですので、信頼できる専門業者との関係を築いておくことが重要です。
相談前に準備しておくと見積もりがスムーズになる情報

メーカーや業者に修理を相談する際、事前にいくつかの情報を整理しておくと、電話やメールでのやり取りが格段にスムーズになります。正確な情報があることで、業者は故障原因を推測しやすくなり、概算の見積もりや訪問日時を迅速に決めることができます。
- 型番・製造年・設置場所・使用年数を整理しておく
- 症状の動画・写真・エラーコードの記録
- 訪問までにやってよいこと/やってはいけないこと
型番・製造年・設置場所・使用年数を整理しておく
これらは、修理受付時にほぼ必ず聞かれる「エアコンの基本情報」です。電話をかける前に、エアコン本体や保証書を確認してメモしておきましょう。これらの情報がないと、業者はどの部品が必要か、どの程度の作業になるかを判断できず、「一度見に行かないと分かりません」となり、時間がかかってしまいます。
<事前に調べる情報>
- 型番(品番)
- 室内機の下面や側面にあるシール(銘板)に記載されています。(例: CS-XXXX、RAS-XXXX など)
- 製造年
- 型番と同じシールに「20XX年製」などと記載されています。
- 使用年数
- おおよそで構いません(例:新築から10年使っている、3年前に購入した など)。
- 設置場所
- ⚪︎ リビングの壁、寝室の壁など。
⚪︎ ベランダの床置き、壁面(高所)に設置、屋根の上 など。
特に室外機が壁面や屋根の上など、高所に設置されている場合は、作業に(高所作業車や特別な足場が必要となり)追加の料金や準備が必要になることがあります。設置状況も正確に伝えることで、より正確な見積もりが期待できます。
症状の動画・写真・エラーコードの記録
故障の状況を、言葉だけで正確に伝えるのは難しいものです。そこで役立つのが、スマートフォンなどで撮影した動画や写真、エラーコードの記録です。口頭で「変な音がする」と説明するよりも、実際の音を録画した動画を見せる方が、業者にとっては遥かに有力な診断材料となります。
<記録しておくと良いもの>
- 動画
- 「ガタガタ」「シュー」といった異音が発生している様子。室内機から水が漏れている様子(どこから、どのくらいの量が漏れているか)。
- 写真
- 水漏れの跡、室外機の周囲の状況(物で塞がれていないかなど)。
- エラーコード
- リモコンの液晶画面に表示される「H11」「F99」といった英数字の組み合わせ。
- ランプの点滅
- 室内機本体の「タイマーランプ」や「運転ランプ」が点滅している場合、その点滅パターン(何回点滅しているかなど)。
エラーコードやランプの点滅パターンは、エアコンが自己診断した故障箇所を示しています。これを伝えるだけで、訪問前に故障原因をほぼ特定できる場合もあり、修理が非常にスムーズに進みます。リモコンに「お知らせ」や「診断」といったボタンがある機種は、それを押してエラーコードを確認してみてください。
訪問までにやってよいこと/やってはいけないこと
業者に連絡してから訪問に来るまでの間、どう過ごせばよいか、不安になることもあるでしょう。症状を悪化させないため、また作業をスムーズにするための注意点をまとめます。基本は「安全第一」です。よかれと思った行動が、かえって危険を招いたり、修理を困難にしたりすることもあります。
- Q. 業者が来るまでに、何かできることはありますか?
- A. まず、室内機と室外機の周りを片付け、業者が作業しやすいスペースを確保しておいてください。特に室外機の前に物が置いてあると、作業ができません。
フィルターの汚れがひどい場合は、清掃しておくと良いですが、水漏れや異音など、明らかな故障の場合は無理に触らない方が無難です。 - Q. 危険なので、してはいけないことは何ですか?
- A. 絶対に、ご自身で室内機や室外機を分解しないでください。感電、ケガ、冷媒ガス漏れの危険があり、非常に重大な事故につながります。
また、「焦げ臭い」「異常音がする」といった危険な症状が出ているのに、原因を探ろうとして何度も電源を入れ直すのもやめてください。症状が悪化し、火災の原因にもなりかねません。 - Q. 室内機から水が漏れています。どうすれば?
- A. まず運転を停止し、コンセントを抜いてください。漏電の危険があります。床が濡れないよう、漏れている箇所の床にタオルやバケツを置いて水を受けてください。
ドレンホース(室外に出ている排水ホース)の出口が詰まっていないか確認し、詰まっていればゴミを取り除いてください。それで水漏れが止まることもありますが、改善しない場合は業者の到着を待ってください。
エアコン修理費用の相場

エアコン修理の費用は、故障の種類や修理を行う業者によって異なります。金額は、故障している部分や時期によって左右されるため、しっかり確認してください。
故障部位ごとの費用相場

エアコンの修理費は、故障部位と部品の種類によって異なります。コンプレッサーはエアコンの主要な部品の一つで、修理になるとコストが高くなりがちです。冷媒ガスの補充は低コストで済みます。修理費用の相場を把握しておけば、エアコン修理時の予算計画が立てやすくなります。修理費用の相場は、以下のとおりです。
- コンプレッサーの交換:40,000~80,000円
- 冷媒ガスの補充:10,000~20,000円
- ファンモーター修理:15,000~30,000円
- 電子基板の交換:20,000~40,000円
- リモコンの交換:3,000~6,000円
- ドレンパン清掃または交換:5,000~12,000円
修理費用を左右する要素
エアコンの修理費用は、故障した部品の種類や交換費用、エアコンのモデルなどの違いで左右されます。故障の度合いによっては、修理の複雑さも変わるため修理費用に影響します。地域や修理業者により料金体系が異なったり、部品の価格や入手しやすさも関係したりするので確認が重要です。
繁忙期と閑散期では修理費用に差が出ることが一般的です。時期や故障の度合いを踏まえると、修理費用の見積もりが正確になり、適切な修理業者選びにつながります。
エアコン修理の流れ

故障や不具合に気づいたら、エアコンの型番や購入年月を確認してから修理業者に連絡してください。修理業者を選ぶ際には、口コミや実績、対応の速さを重視しましょう。業者は現地調査を行ったあと見積もりを提出します。見積もり内容に同意すると修理日時が調整され、作業が始まります。余裕を持った計画を立てましょう。
修理業者の選び方

エアコン修理業者を選ぶ際は、信頼できるかの見極めが重要です。地元の業者を選べば、迅速な対応が期待できます。適切に業者を選べばエアコン修理がスムーズかつ効率的に行われるため、長期的なコスト削減にもつながります。業者選びのポイントは、以下のとおりです。
- 修理業者の実績と評判を確認する
- 必要な資格や認証を持っているかを確かめる
- 事前見積もりを取り、料金体系を確認する
- 修理保証やアフターサービスの有無を確認する
修理依頼時のポイント

エアコンの修理を依頼する際には、事前の準備が重要です。エアコンのメーカーやモデル番号を確認すると、修理業者が適切に対応できます。故障の症状や発生した状況を、詳細に記録すると安心です。業者は正確な診断を行い、的確な修理計画を立てられます。
修理業者を選ぶ際には、複数の見積もりを取得し比較検討するのが大切です。業者の評判や口コミ、実績を事前に確認すると、信頼できるサービスを選べます。保証期間内の場合は、メーカーや販売店に連絡すると節約につながります。修理時には、作業内容や交換部品について確認しましょう。
作業内容を聞くと何が行われているのかを理解でき、後々のトラブルを避けられます。修理後の保証期間やアフターサービスについても忘れずに確認してください。
修理にかかる時間

エアコンの修理にかかる時間は、故障の種類や修理が必要な部品によって異なります。軽微な修理や部品の交換の場合、作業は1~2時間程度で完了することが多いです。冷媒ガスの補充や大規模な部品の交換が必要な場合は、作業時間が3~5時間に及ぶため注意が必要です。
壁埋め込み型のエアコンなどの特殊な設置の場合は、作業が複雑になり、修理時間が長くなることも考えられます。修理業者の診断やスケジュール、部品の調達に時間がかかるため、全体の作業時間が延びる可能性があります。エアコン修理を依頼する際は、作業開始までの待ち時間も含めて計画を立てましょう。
エアコン修理と買い替えの判断基準

エアコンの修理と買い替えの判断には、いくつかの基準を考慮する必要があります。寿命や修理費用、最新技術の利用可能性など、さまざまな要素が関連しています。経済的かつ快適な空調環境を保つために、適切な選択を行いましょう。
修理か買い替えかの判断ポイント

エアコンの修理か買い替えかを決めるには、いくつかのポイントがあります。判断の際は、以下のポイントを考慮してください。
- エアコンの使用年数と平均寿命が近くなっている
- 修理費用が新品価格の50%を超える
- エネルギー効率のよい最新モデルが発売されている
- 頻繁に故障が発生している
- 最新技術や機能が必要である
修理と買い替えのコストの比較

エアコンの修理と買い替えコストの比較は、費用対効果の高い選択につながります。修理のコストは新品購入のコストよりも低くなることが多いです。しかし、頻繁に修理すればコストは積み重なり、高くつく場合があります。部品の入手が困難な古いモデルのエアコンの場合、新しいモデルへの買い替えが経済的です。
最新のエアコンは省エネ技術が進んでいるため、運用コストが低く抑えられます。修理をしても性能が元通りにならず、修理後も故障が頻繁に起こる場合は、新しいエアコンの購入を検討しましょう。エアコンの寿命が近い場合は、新しいものに買い替えるほうがコスト効率が良いです。
エアコン修理を予防するためのメンテナンス方法

エアコンの修理を未然に防ぐためには、日頃のメンテナンスが重要です。適切なケアを行うことで、エアコンの寿命を延ばし、快適な使用環境を維持できます。ここでは、エアコンを故障から守るための具体的なメンテナンス方法について詳しく解説します。
- エアコン内部のお手入れの頻度と方法
- 室外機のチェックポイント
- 専門業者による定期点検の重要性
エアコン内部のお手入れの頻度と方法
エアコン内部のお手入れは、故障予防と快適な使用環境を維持するために重要です。適切なお手入れの頻度と方法を紹介します。フィルターの清掃は最も基本的かつ重要なメンテナンスです。使用頻度にもよりますが、2週間に1回程度の清掃が理想的です。特に夏場の使用頻度が高い時期は、週1回の清掃がおすすめです。
フィルターの清掃方法は以下の通りです。
- エアコンの電源を切る
- フロントパネルを開け、フィルターを取り外す
- 掃除機でホコリを吸い取る
- 汚れがひどい場合は、中性洗剤を薄めた水で洗い流す
- 陰干しで完全に乾かす
- 元の位置に戻す
フィルターが破損している場合は、同じ型番のものに交換することをおすすめします。互換性のあるフィルターは家電量販店やインターネットで購入できます。内部の熱交換器(アルミフィン)は、専用のスプレーやブラシを使って清掃できますが、傷つけないよう注意が必要です。自信がない場合は、年に1回程度、専門業者によるクリーニングを依頼するとよいでしょう。
特に以下のような症状がある場合は、内部クリーニングが必要なサインです。
- エアコンから異臭がする
- 運転開始時にカビ臭い風が出る
- フィルター清掃をしても冷暖房の効きが悪い
- ドレン水の排水が悪い
プロのクリーニングサービスは1万円〜2万円程度ですが、故障の予防と省エネ効果を考えると費用対効果は高いといえます。
室外機のチェックポイント

室外機は屋外に設置されているため、様々な環境要因によるダメージを受けやすい部分です。定期的な点検と適切な環境維持が重要です。
室外機のチェックポイントと対処法は以下の通りです。
- 周囲の環境
- 障害物(植物、物置など)が室外機の周り50cm以内にないか確認
障害物があれば取り除き、適切な空間を確保する - 熱交換器(アルミフィン)
- 落ち葉やホコリが詰まっていないか確認
軽い汚れは刷毛や掃除機で除去(水をかけての清掃は避ける) - ドレンホース
- 詰まりや折れ曲がりがないか確認
ホースの先端が水たまりに浸かっていないか確認 - 台座とボルト
- 台座が水平に設置されているか確認
ボルトの緩みや錆がないか確認
室外機の周囲は最低でも前面60cm、上部30cm、側面20cmの空間を確保することが推奨されています。特に夏場は、直射日光を避けるための日よけや、打ち水による温度低下も効果的です。
塩害地域では、塩分による腐食が進みやすいため、定期的に専用の防錆スプレーを使用することをおすすめします。積雪地域では、雪が室外機を覆わないよう、適切な高さに設置するか、雪よけカバーの設置を検討しましょう。室外機の異常な振動や異音がある場合は、専門業者に点検を依頼することをおすすめします。内部の部品(ファンモーターなど)の劣化が進んでいる可能性があります。
専門業者による定期点検の重要性
家庭でのメンテナンスに加えて、専門業者による定期点検を行うことで、早期に故障の兆候を発見し、大きなトラブルを防ぐことができます。
専門業者による定期点検で行われる主な内容は以下の通りです。
動作チェック
- 各モード(冷房・暖房・除湿など)の動作確認
- 温度設定や風量調節の確認
- 異音や振動のチェック
内部クリーニング
- 熱交換器の洗浄
- ドレンパンの清掃
- ファンの清掃
電気系統のチェック
- 配線の劣化確認
- 端子の緩みや腐食チェック
- 電流値や電圧の測定
冷媒系統のチェック
- 冷媒漏れの有無確認
- 冷媒圧力の測定
- 必要に応じた冷媒の補充
定期点検の頻度は、使用環境や使用頻度によって異なりますが、一般的には年に1回程度が理想的です。特に以下のような場合は、より頻繁な点検をおすすめします。
- 使用年数が7年以上経過している
- 海岸近くなど塩害の影響を受ける環境
- 工場地帯など粉塵が多い環境
- 業務用など使用頻度が高い場合
定期点検のメリットとして、故障の予防だけでなく、エアコンの性能維持による省エネ効果も期待できます。点検費用は5,000円〜15,000円程度ですが、大きな故障を未然に防ぐことを考えると、長期的にはコスト削減になります。
多くのメーカーや専門業者は、定期点検やクリーニングのパッケージプランを提供しています。複数年契約することで割引が適用される場合もあるため、比較検討することをおすすめします。
エアコン修理は自分でどこまでOK?

この記事では、エアコン修理を自分で行う際のリスク、DIYしてもよい作業の範囲、そして絶対に専門業者に任せるべき作業の境界線を、初心者にも分かりやすく解説します
- エアコン修理をDIYする前に知っておくべきリスク
- 自分でしてもよい日常メンテナンス
- 資格や専門知識が必要な作業(DIY禁止ゾーン)
- DIYと業者の境界線を見極めるチェックリスト
- 安全にエアコンを長持ちさせるためのおすすめルーティン
エアコン修理をDIYする前に知っておくべきリスク
簡単な修理のつもりが、取り返しのつかない重大な事故や、さらなる故障につながる危険性があります。専門知識や資格なしにエアコンの内部構造に触れることは、大きなリスクを伴うことをまず理解してください。
感電・漏電・火災のリスク
エアコンは、家庭用であっても非常に高い電圧(100Vまたは200V)で動作しています。電源プラグを抜いたつもりでも、内部のコンデンサなどに電気が蓄積されている(帯電している)場合があります。知識がないまま内部の電気回路や配線に触れると、感電して重傷を負う、あるいは死亡する危険性があります。
配線の接続ミスや、内部の基板に水や洗浄スプレーがかかることで「漏電」や「ショート」が発生することも考えられます。漏電は感電事故の原因になるだけでなく、異常な発熱から内部部品が発火し、最悪の場合、火災につながる恐れもあります。電気を扱う作業は、見た目以上に危険であり、ほんの小さなミスが重大な結果を招くことを認識してください。
冷媒ガス(フロン)漏えいによる環境・健康リスク
エアコンが空気を冷やしたり暖めたりできるのは、「冷媒ガス(フロンガス)」が室内機と室外機の間を循環しているからです。この冷媒ガスは、地球温暖化の原因となる強力な温室効果ガスであり、大気中に放出することが法律(フロン排出抑制法)で厳しく規制されています。DIYで配管や室外機に触れた結果、意図せずガスを漏えいさせてしまうと、環境破壊につながります。
冷媒ガス自体は通常の状態では無色透明・無臭ですが、高濃度で吸い込むと酸素欠乏(窒息)のリスクがあります。さらに、ガスが漏れている最中に火気に触れると、有毒なガスが発生する危険性も指摘されています。冷媒ガス(冷媒回路)に関わる作業は、専門の資格と回収・充填のための専用機材を持ったプロでなければ絶対に行ってはいけません。
誤った作業で保証が無効になるケース
エアコンの内部、特に電装部品や冷媒回路を(メーカーや正規の業者以外が)一度でも分解・改造してしまうと、たとえ保証期間内であったとしても、メーカーの保証が受けられなくなります。「自分で直そうとしたら、かえって症状が悪化した」という状況でメーカーに修理を依頼しても、「お客様による分解が確認されたため、保証対象外となり有償修理です」と判断される可能性が非常に高いです。
市販のエアコン洗浄スプレーを使用したことが原因で故障した場合も、同様に保証が無効になるケースが報告されています。良かれと思って行ったDIY作業が、メーカー保証という「保険」を失う結果になり、結局は高額な修理費用を支払うことになるリスクがあるのです。自信がない作業、特に分解を伴う作業は、保証を守るためにも絶対に避けるべきです。
自分でしてもよい日常メンテナンス
エアコン修理のDIYには大きなリスクが伴いますが、一方で、ご自身で行うべき(または、行っても安全な)日常のメンテナンス作業もあります。これらは故障の予防や、軽微な不具合の解消につながるため、ぜひ定期的に行ってください。
フィルター清掃の頻度と正しい手順
エアコンの不具合で最も多い原因の一つが「フィルターのホコリ詰まり」です。これはご自身で安全に、かつ簡単に対処できます。フィルターが詰まると、空気の通り道が塞がれ、冷暖房の効率が著しく低下します。「冷えない」「暖まらない」といった症状や、水漏れ、異常な電気代高騰の原因にもなります。
清掃の頻度は、使用状況にもよりますが「2週間に1回」が推奨されています。まず、エアコンの前面パネルを開け、フィルターを取り外してください。取り外したフィルターのホコリを、掃除機で(外側から)吸い取ります。汚れがひどい場合は、水洗いも可能ですが、その際は陰干しで完全に乾かしてから元に戻してください。(※お掃除機能付きエアコンの場合も、ダストボックスに溜まったホコリは定期的に捨てる必要があります。)
ドレンホース清掃で改善できる軽度の水漏れ
室内機からの水漏れ(ポタポタと水が垂れてくる)は、多くの場合、結露水を外に排出するための「ドレンホース」の詰まりが原因です。室外機の近くにあるドレンホース(細いジャバラ状のホース)の先端が、ゴミ、泥、虫、苔などで塞がれていないか確認してください。
もし先端が詰まっている場合は、割り箸などで優しくゴミを取り除いてください。それでも水の流れが悪い場合は、ホースの内部が詰まっている可能性があります。その際は、市販されている「ドレンホースクリーナー(サクションポンプ)」を使って、内部の詰まりを吸い出すのが効果的です。(※ただし、ホース自体が劣化して割れている場合や、室内機内部で詰まっている場合は、専門業者による点検が必要です。)
リモコン・ブレーカー・コンセントの基本チェック
「エアコンが全く動かない」という症状の多くは、故障ではなく単純な電源トラブルや操作ミスです。専門業者を呼ぶ前に、以下の3点は必ずご自身で確認してください。これだけで解決するケースも少なくありません。
<基本チェックリスト>
- リモコン
液晶は表示されていますか?電池を新しいものに交換してみてください。また、リモコンが「運転」になっていても、室内機本体の応急運転ボタンでも動かないか確認します。 - ブレーカー
自宅の分電盤を確認し、エアコン専用のブレーカーが「切(OFF)」になっていないか確認します。「切」になっていたら「入(ON)」に戻します。(※すぐに落ちる場合は漏電の可能性あり) - コンセント
エアコン専用のコンセントプラグが、しっかり刺さっているか確認します。一度抜いて、数分待ってから再度差し込むと、エアコンがリセットされて復旧することがあります。
これらのチェックは、一切の危険がなく、誰でもできる最も基本的なトラブルシューティングです。業者を呼んだ結果、原因が「リモコンの電池切れ」だった場合、技術料は不要でも出張費は請求されるため、必ず確認しましょう。
資格や専門知識が必要な作業(DIY禁止ゾーン)
ここからは、専門の資格や高度な知識、専用の工具が必要となる「DIY絶対禁止」の領域です。これらの作業をご自身で行うことは、法律違反や重大事故につながるため、絶対に行わないでください。
電気工事士の資格が必要になる作業とは?
エアコンの設置や修理には、「電気工事士」という国家資格が必要となる作業が多数含まれます。特に、エアコン専用コンセントの増設や交換、電圧の切り替え(100V⇔200V)、ブレーカーの増設、室内機と室外機をつなぐ内外連絡線の接続などは、資格保持者でなければ作業できません。これらの作業は「電気工事士法」によって厳しく定められており、無資格での作業は法律違反となります。(参考:経済産業省「電気工事士法」)
無資格者が作業を行うと、配線ミスによるショートや火災、感電のリスクが極めて高くなります。電源周りや配線に関わる作業は、DIYの範疇を完全に超えています。エアコンの移設や、古いエアコンの取り外し(配線の切断)なども、必ず有資格者が在籍する専門業者に依頼してください。
冷媒回路に触る作業(ガス充填・配管接続)は専門業者一択
エアコンの心臓部とも言えるのが、冷媒ガス(フロンガス)が循環する「冷媒回路(冷媒配管)」です。「エアコンが冷えないからガスが抜けたかも」と考え、ご自身でガスを充填しようとするのは非常に危険であり、法律違反にもなります。冷媒ガスの取り扱いには、「冷媒フロン類取扱技術者」などの専門資格が必要です。ガスの回収、充填、配管の接続(フレア加工)には、真空ポンプ、トルクレンチ、マニホールドといった専用の工具と、正確な知識が不可欠です。
素人が作業すると、ガス漏れ(環境破壊)、配管接続部の不備によるガス漏れ(=再故障)、水分の混入によるコンプレッサーの故障など、致命的なトラブルを引き起こします。冷媒ガスに関わる作業は、DIYでできることは一切ありません。必ず専門業者に依頼してください。
室外機の分解・基板交換・コンプレッサー交換が危険な理由
室外機や室内機のカバーを開け、内部の「電装基板(プリント基板)」「ファンモーター」「コンプレッサー(圧縮機)」といった中核部品に触れることも、DIY禁止ゾーンです。これらの部品は、エアコンの動作を制御する非常にデリケートな電子部品や、高電圧・高圧ガスを扱う動力部です。室外機の内部には、電源プラグを抜いても高電圧が蓄積されている「コンデンサ」という部品があり、触れると即座に感電する危険があります。
部品の特定や交換手順はメーカーや機種ごとに異なり、少しでも間違った部品を取り付けたり、配線を誤ったりすると、修理不能なほどに故障を拡大させてしまいます。「基板が壊れているようだ」とご自身で診断できたとしても、その先の交換作業は、メーカーまたは専門の修理業者でなければ安全かつ正確に行うことは不可能です。
DIYと業者の境界線を見極めるチェックリスト
ご自身のエアコンの不具合が、自分で対処できるレベルなのか、それともすぐに業者を呼ぶべきなのかを判断するためのチェックリストです。一つでも「はい」が当てはまれば、それはDIYの限界を超えています。
「電気」「冷媒」「高所作業」が関わるかどうか
以下の3つが関係する作業は、専門家でなければ対応できません。ご自身の安全と法律遵守のため、絶対に手を出さないでください。
<プロの領域チェック>
- 電気
- コンセント、ブレーカー、室外機・室内機の内部配線、基板など、電気回路に触る必要があるか?
- 冷媒
- 室外機へのガス充填、配管(銅管)の取り外し・接続、移設が伴うか?
- 高所作業
- 室外機が壁面に設置されている、屋根の上にあるなど、脚立やハシゴを使っても不安定な場所での作業になるか?
これらが当てはまる場合、DIYは不可能です。特に高所作業は、エアコン修理以前に「墜落・転落」という命に関わる危険が伴います。「室外機が壁の高い位置にあって、ドレンホースの確認ができない」といった場合も、ご自身で無理をせず、業者に点検を依頼してください。
症状が再発しているか、複数箇所に影響が出ていないか
一度ご自身で対処(例:フィルター掃除、ドレンホース掃除)をしたにもかかわらず、同じ症状(水漏れ、冷えが悪いなど)がすぐに再発する場合、原因はもっと別の場所にある可能性が高いです。例えば、ドレンホースを掃除しても水漏れが直らない場合、室内機内部のドレンパン(水の受け皿)の割れや、熱交換器の異常、本体の設置傾斜不良などが考えられます。
「冷えない」と「異音がする」など、複数の不具合が同時に発生している場合も、内部の複雑な要因(例:コンプレッサーの不具合、ガス欠による異常動作)が疑われます。症状が単純でない、あるいは対処しても改善しない場合は、ご自身での原因特定は困難です。無理に追求せず、専門家による診断を仰ぐべきサインと捉えてください。
DIY後にすぐ業者を呼ぶべきサイン
万が一、ご自身でメンテナンスや軽微な修理を試みた後、以下のような異常が発生した場合は、すぐに作業を中断し、運転を停止してください。そして、安全な場所から専門業者に緊急の点検を依頼してください。DIYが失敗し、危険な状態を誘発した可能性があります。
<緊急停止・業者要請サイン>
- 焦げ臭い匂いがする(火災の前兆です)
- ブレーカーがすぐに落ちるようになった(内部でショートしています)
- 「ボンッ」「バキッ」といった、今までにない異常な音が出た
- 電源プラグやコードが異常に熱くなっている
- 掃除後、エアコンのランプが異常な点滅を始めた(基板損傷やセンサーの接続不良の可能性)
これらの症状は、DIY作業によって配線や部品を損傷させた結果、発生している可能性が非常に高いです。「自分でやった」とは言い出しにくいかもしれませんが、状況を隠すと、業者が原因究明に手間取り、かえって修理が遅れます。正直に「どこをどのように触ったか」を伝え、迅速な対応を依頼してください。
安全にエアコンを長持ちさせるためのおすすめルーティン
エアコンの故障リスクを減らし、安全に長期間使い続けるためには、危険なDIY修理ではなく、日頃の「予防メンテナンス」が最も重要です。専門家の力を借りることも含め、おすすめのルーティンをご紹介します。
シーズン前後にやっておきたいセルフチェック
冷房や暖房を本格的に使い始めるシーズン前(例:5月〜6月、10月〜11月)に、試運転を兼ねたセルフチェックを行うことを習慣にしましょう。本格的なシーズンに入ってから故障に気づくと、修理業者が混み合っていて、すぐに来てもらえない「修理難民」になってしまう可能性があるからです。
<シーズン前チェックリスト>
- 電源チェック
ブレーカーが「入」になっているか、コンセントは刺さっているか確認。 - フィルター清掃
シーズン中に溜まったホコリを掃除機で吸い取り、必要なら水洗いする。 - ドレンホース確認
ホースの先端が詰まっていないか、水がポタポタと排出されるか確認。 - リモコン動作確認
電池を入れ、各ボタンが正常に反応するか確認。 - 試運転
15分〜30分程度、冷房(または暖房)を運転させ、冷風(温風)が正常に出るか、異音・異臭がないか、水漏れがないかを確認する。
このチェックをシーズン前に行っておけば、万が一不具合があっても、混雑する前に余裕を持って修理の手配ができます。シーズンオフに一度、電源プラグを抜いてリセットしておくことも、基板の保護につながります。
2〜3年に一度はプロのクリーニング・点検を検討
ご自身でできるフィルター掃除だけでは、エアコン内部の奥(熱交換器やファン)に溜まったカビやホコリを完全に取り除くことはできません。これらの汚れは、アレルギーの原因となるだけでなく、エアコンの効率を低下させ、水漏れや故障の原因にもなります。そこで、2〜3年に1度程度、専門業者による「エアコンクリーニング(分解洗浄)」を検討することをおすすめします。
プロはエアコンを分解し、専用の高圧洗浄機と洗剤を使って、内部の隅々まで徹底的に洗浄してくれます。これにより、風量や効率が回復し、カビ臭さも一掃されます。クリーニングと同時に、専門家の目で各部の簡易点検(ガス圧、異音、ドレンの流れなど)をしてもらえる場合もあり、故障の早期発見にもつながります。これはDIYでは不可能な、最も効果的なメンテナンスの一つです。
修理履歴・メンテナンス履歴を残しておくメリット
エアコンの「カルテ」として、いつ修理やクリーニングを行ったかの履歴を残しておくことは、将来的に非常に役立ちます。保証書や取扱説明書と一緒に、修理の伝票やクリーニングの領収書をファイルしておきましょう。
<履歴を残すメリット>
- 故障の再発時に役立つ
- 次に別の業者が修理する際、「前回は〇〇の部品を交換した」という情報が、迅速かつ正確な診断の助けになります。
- 買い替えの目安になる
- 「7年目で基板交換、9年目でガス補充」といった履歴があれば、「そろそろ寿命だから、今回は修理せずに買い替えよう」という合理的な判断がしやすくなります。
- メンテナンス時期の把握
- 「前回のクリーニングから3年経った」と分かり、適切なタイミングで次のメンテナンスを計画できます。
これらの履歴は、エアコンを安全かつ経済的に運用していくための重要な情報資産となります。危険なDIYに挑戦するよりも、こうした日々の正しいメンテナンスと記録の蓄積こそが、エアコンを長持ちさせる最善の方法です。
エアコン修理で利用できる保証やサポート制度

エアコンが故障した場合、修理費用が高額になることも少なくありません。そんな時に役立つのが、メーカー保証やサポート制度です。ここでは、保証やサポート制度を上手に活用し、費用負担を抑える方法を紹介します。
- メーカー保証と延長保証の違い
- 保証対象外になりやすいケース
- 修理費用を節約するための5つのポイント
メーカー保証と延長保証の違い
エアコン購入時に付帯するメーカー保証と、オプションで加入できる延長保証には、それぞれ特徴と違いがあります。
| 保証の種類 | 期間 | 内容 |
| メーカー保証 | 1年間(部品によって3〜5年) | 製造上の不具合に適用 |
| 延長保証 | 最大10年 | 追加料金で保証範囲を拡大 |
ポイント
- メーカー保証は無料だが、期間が短い
- 長期間の安心を得たい場合は延長保証を検討
保証対象外になりやすいケース

以下のケースでは保証が適用されないことが多いです。
- 自己修理や改造を行った場合
- メンテナンス不足による故障
- 天災(落雷・水害)による損傷
保証の適用範囲を事前に確認しておくことが重要です。
修理費用を節約するための5つのポイント
エアコンの修理費を抑えるためには、以下のポイントを意識しましょう。
- 定期的なメンテナンスを怠らない
- 保証やサポート制度を上手に活用する
- 修理業者は複数から見積もりを取る
- 修理費用が本体価格の半額を超える場合は買い替えを検討する
- 早期発見・早期修理を心がける
エアコン修理時に注意したいトラブル事例と対処法

エアコンの修理を依頼する際には、想定外のトラブルに巻き込まれるケースがあります。余計な費用やストレスを防ぐためにも、よくあるトラブル事例を理解し、適切な対処法を知っておきましょう。
- 見積もり・修理費用に関するトラブル
- 修理完了後に不具合が再発した場合の対処
- 部品の在庫不足や交換時期の問題
見積もり・修理費用に関するトラブル
見積もり額と実際の請求額が異なるトラブルはよくあります。以下の対応を行いましょう。
- 必ず修理前に詳細な見積もりをもらう
- 見積もりの内訳(部品代・工賃)を明確に確認
- 不明点は納得いくまで業者に質問
信頼できる業者を選ぶことで、トラブルのリスクは大幅に軽減できます。
修理完了後に不具合が再発した場合の対処

修理後に不具合が再発した場合、速やかに業者へ連絡してください。修理後の再トラブルについては保証期間内であれば、無料で再修理を受けられる場合がほとんどです。
部品の在庫不足や交換時期の問題
古いエアコンの場合、部品の在庫不足で修理が困難なことがあります。部品が見つからない場合は代替部品の利用か買い替えが必要になります。部品交換は早めに行い、エアコンの故障リスクを減らしましょう。

エアコンの故障を防ぐためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。以下のポイントを押さえて、エアコンを長持ちさせましょう。
- フィルター清掃は2週間に1回
- 室外機の周囲を常に整理
- 年1回は専門業者の点検を受ける
- 保証制度を活用して修理費用を抑える
エアコンの不具合を感じたら、早めの対策が肝心です。定期的なメンテナンスを行い、快適な室内環境を維持しましょう!
エアコン修理に関するよくある質問

エアコン修理に関するよくある質問をまとめました。エアコンが故障したときや修理を検討する際に役立ちます。エアコンの故障は予期せぬタイミングで起こることが多く、適切な対処方法を知ることが重要です。初期対応の方法や修理業者の見つけ方、修理後の注意点など、エアコンの維持につながる回答をまとめています。
エアコン修理は自分でできる?

自分でエアコン修理をするのは、おすすめできません。エアコンの修理には専門的な知識や特定の工具が必要です。適切に処置しなければ、故障や安全上の問題を引き起こす可能性があります。電気系統のトラブルや冷媒ガスの補充などは、技術者の資格を持つプロに依頼するのが安全です。
エアコンのフィルター掃除や外部の清掃など、基本的なメンテナンスは自分で行えます。メンテナンスはエアコンの性能を保ち、故障を防ぐのに役立ちます。修理や内部のメンテナンスを自分で行う際には、製品の保証が失効するリスクがあることも理解しておきましょう。
故障が疑われるときにまずやるべきことは?

エアコンの故障が疑われるときは、基本的な確認を行いましょう。不必要な修理コストを避け、問題の原因を特定するのに役立ちます。電源の接続状態を確認し、コンセントがきちんと差し込まれているか、ブレーカーが落ちていないかをチェックしてください。リモコンの電池も確認して、必要であれば新しい電池に交換します。
エアコンのフィルターが汚れていないかの確認も重要です。フィルターが詰まっていると、冷暖房の効率が悪化します。汚れが酷い場合は、フィルターを掃除しましょう。エアコンの外部排気口や室外機周辺に、障害物がないかも確認してください。
確認を行った後でも問題が解決しない場合や、異音や異臭がする場合はエアコンの使用を中止し、専門家に相談してください。専門家の診断により、修理すべきか買い替えるべきかの適切な判断が可能です。
» エアコンフィルターの掃除方法と注意点を解説
» ドレンホースを自分で掃除する方法を徹底解説!
修理業者が見つからないときはどうすればいい?

修理業者が見つからないときは、インターネットで「地域名 エアコン修理」などのキーワードで検索します。自分が住んでいる地域の修理業者を見つけられます。友人や家族に相談すれば、信頼できる業者の情報を得られやすいです。地元の家電店や大型家電量販店では、修理サービスを行っていることが多いです。
エアコンのメーカー公式サイトには、修理サービスの提供情報が書かれていることがあるので、確認しましょう。SNSや地域のオンラインフォーラムの利用もおすすめです。他のユーザーの推薦やレビューが参考になり、信頼できる修理業者を見つけられます。
エアコン修理後の注意点は?

エアコンを修理した後は、いくつかの注意点があります。修理直後はエアコンの動作をよく観察し、異常音や異臭がないかを確認してください。エアコンのフィルターや外部ユニットは定期的に清掃しましょう。最適な動作状態を維持し、エアコンの寿命を延ばせます。
修理業者が保証期間を設けている場合、期間内に再発する問題は速やかに連絡することが重要です。迅速な対応を受けられます。修理後にエアコンを初めて使用する際は、短時間のテスト運転を行い、全機能が正常に動作するか確認しましょう。
修理の影響でエアコンの設定やタイマーがリセットされることがあるので、必要に応じて再度設定を行ってください。修理後の注意点に気をつけながらエアコンを使用すると、快適な室内環境を保てます。
まとめ

エアコンの故障や修理に関する理解を深めることは重要です。エアコンがうまく機能しないときに原因を特定し、適切な対応を取れます。修理が必要か、買い替えを検討すべきかを判断するためには、故障の症状と寿命を正しく把握することが大切です。
修理業者を選ぶ際のポイントや、修理費用に影響を与える要因を知ると、コストを抑えつつ適切な修理を依頼できます。初期対応の仕方や、修理後の注意点を知っておくと問題解決がスムーズになります。