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トイレの水が逆流する原因は、つまりであるケースがほとんどです。水が逆流すれば、トイレや室内などが水浸しになり快適な生活から遠ざかります。
本記事では、トイレの水が逆流する原因と対処法を解説します。業者を呼ぶべき状況も紹介するため、快適な生活を送りたい方は必見です。
当記事を読むことで、トイレの水が逆流するのを回避でき、逆流した際も適切な対処法を実行できます。
トイレの水が逆流する原因

トイレの水が逆流する主な原因は以下3つです。
- トイレ内部のつまり
- 排水管や排水口のつまり
- 排水桝や汚水ポンプのトラブル
トイレのつまりにより水が逆流すると、生活に支障をきたします。逆流の原因を知っておくことで、適切な対処が可能になります。
トイレ内部のつまり

トイレ内部のつまりは、大量のトイレットペーパーを流したり、小物が落下したりすることで起こるケースが大半です。異物によってタンク内の水流が遮られることで逆流します。水に溶けるお尻拭きやトイレクリーナーなどの商品も逆流の原因になります。
トイレットペーパーは小分けに流す、トイレの近くに小物を置かないなどの対処を講じましょう。水に溶けると書かれている商品でも、燃えるゴミで処理すれば逆流を防げます。
» トイレのつまりを解消するポイントと再発を防ぐ方法を解説!
排水管や排水口のつまり

排水管や排水口のつまりは、トイレの水を流しきれていないことで起こる場合がほとんどです。節約のために「小」レバーのみ使用していたり、タンク内にお風呂の残り湯を入れたりしているケースが考えられます。
不適切な流水量は逆流の原因となります。適切な流水量でトイレを使用しましょう。一般家庭に設置されているトイレは、適切な排水量を計算したうえで製作されています。排便をしたのであれば「大」レバーを使用する、排尿でトイレットペーパーを使ったのであれば「大」レバーで流すのが有効です。
排水桝や汚水ポンプのトラブル

排水桝や汚水ポンプのトラブルによる逆流は、水を処理しきれないのが原因です。大量の雨が降ったり土砂災害で大量の水が流れ込んだりすることで、排水桝のトラブルにつながり水が逆流します。汚水ポンプの故障によって水が流れない場合も逆流を起こします。
トイレの水は排水桝を経由して、下水処理施設へと流れるのが基本です。しかし、大量の水が流れ込むと排水桝がつまり、キャパオーバー状態になります。キャパオーバー状態でトイレの水を流すと、行き場をなくした水は逆流します。
汚水ポンプのトラブルは日頃の清掃で予防可能です。ただし、天候や災害が原因でトイレの水が逆流した場合は、水道工事業者に修理を依頼しましょう。排水桝や汚水ポンプのトラブルは、自分のみで対処できないケースが大半です。
逆流の“予兆”と見極め

トイレの逆流には、単なる詰まりとは異なる様々な原因が隠されています。水位の上昇や異音など、普段と違うサインを見逃さないことが重要です。ここでは、逆流の予兆を正しく見極めるためのポイントを解説します。
- 便器水位上昇/他の排水器具のボコボコ音=内圧上昇のサイン
- 封水が浅い・通気不良で起きる“臭い・音だけ”のケース
- 屋外桝の満水・汚泥・根侵入のチェックポイント
- 早期判別フローチャート(戸建/集合住宅)
便器水位上昇/他の排水器具のボコボコ音=内圧上昇のサイン
便器の水位が普段より高くなったり、お風呂やキッチンの排水口から「ボコボコ」という音が聞こえたりするのは、排水管内部の圧力が上昇しているサインです。これは、短時間で大量の雨が降った際に発生する「内水氾濫」の典型的な予兆と言えます。
内水氾濫が起きると、公共下水道の排水能力を超えた雨水が、宅地内の排水管を通じて逆流してきます。このとき、行き場を失った空気や水が宅内配管の圧力を高め、トイレの水位を押し上げたり、他の排水口から空気を噴出させたりするのです。特に低い土地や半地下の建物では注意が必要です。
封水が浅い・通気不良で起きる“臭い・音だけ”のケース
便器の底に溜まっている水(封水)が極端に少ない、または時々水が跳ねるような音がして下水の臭いが上がってくる場合、それは逆流ではなく「封水切れ」の可能性があります。封水は下水管からの悪臭や害虫の侵入を防ぐフタの役割を果たしており、これが無くなると様々な問題を引き起こします。
封水切れの主な原因は、排水管の通気不良です。他の場所で大量の水を流した際に、配管内の気圧が急激に変化し、封水が引っ張られてしまうのです。これは逆流と間違えやすい現象ですが、水があふれてくるわけではないため、まずは換気や通気系統の点検を検討すべきケースです。
屋外桝の満水・汚泥・根侵入のチェックポイント
戸建て住宅の場合、トイレの逆流が起きたら敷地内にある屋外の排水桝(ます)を確認することが原因究明の近道です。桝のフタを開けてみて、中が満水状態であったり、汚泥やトイレットペーパーが溜まっていたりする場合は、その桝から公共下水道までの間で詰まりが発生している可能性が高いです。
桝の詰まりは、長年の使用による汚泥の蓄積のほか、庭木の根が排水管内に侵入して成長することも原因となります。桝の中が正常なのにトイレだけが逆流する場合は、トイレから桝までの間の配管に問題があると考えられます。原因の切り分けに役立つ重要なチェックポイントです。
早期判別フローチャート(戸建/集合住宅)
トイレの逆流が疑われる場合、以下のフローチャートで状況を整理し、原因を素早く判別しましょう。
【戸建住宅の場合】
- 他の水回り(風呂・キッチン)は正常に流れるか?
- はい → トイレ便器内または、トイレから屋外桝までの配管詰まりの可能性が高い。
いいえ → 屋外の排水桝を確認する。 - 屋外の排水桝の水位は正常か?
- はい → 公共下水道の問題(内水氾濫など)の可能性がある。自治体の情報を確認する。
いいえ(満水状態) → 敷地内の排水管(桝から公道の下水管まで)の詰まりが原因。
【集合住宅の場合】
- 他の水回り(風呂・キッチン)は正常に流れるか?
- はい → ご自身の専有部分内のトイレ詰まりの可能性が高い。
いいえ → すぐに管理会社または大家さんに連絡する。 - 他の部屋でも同様の現象は起きているか?
- はい → 建物全体の共用配管(立管など)で問題が発生している可能性が極めて高い。個人での対処はせず、管理会社の指示を待つ。
緊急時の初動テンプレ

実際にトイレから水があふれ始めたら、パニックにならず、迅速かつ冷静に行動することが被害拡大を防ぐ鍵です。最初の30分でやるべきことをテンプレートとしてまとめました。
- 使⽤中止→止水栓(必要時)→電源系オフ→汚水の隔離
- 水のうの作り方と設置位置(便器/床排水口)
- 清掃・消毒の濃度と順番(0.05〜0.1%次亜塩素酸Na→水拭き→換気)
- NG行為:熱湯・酸性×塩素の混合・無理な押し流し
使⽤中止→止水栓(必要時)→電源系オフ→汚水の隔離
まず、絶対に水を流そうとせず、トイレの使用を完全に中止してください。もし便器への給水が止まらない場合は、トイレのタンク横や壁にある止水栓をマイナスドライバーで時計回りに回して水を止めましょう。
次に、ウォシュレットや暖房便座の電源プラグをコンセントから抜いてください。水濡れによる漏電や感電、故障を防ぐための重要な措置です。その後、あふれた汚水が他の部屋へ広がらないよう、古いタオルや雑巾などでトイレの出入り口を塞ぎ、被害範囲を限定します。
水のうの作り方と設置位置(便器/床排水口)
水のうは、逆流の圧力を抑え込むのに有効なアイテムです。家庭用のゴミ袋(45L程度が望ましい)を2枚重ねにし、中に水を半分ほど入れます。袋の中の空気をできるだけ抜いてから、口を固く縛れば完成です。
完成した水のうは、便器の中にゆっくりと沈めてフタをします。これにより、下から上がってくる水の勢いを直接抑えることができます。床にも排水口がある場合は、その上にも水のうを置いてください。ビニール袋と水だけで作れる応急処置として非常に効果的です。
清掃・消毒の濃度と順番(0.05〜0.1%次亜塩素酸Na→水拭き→換気)
水が引いた後の清掃と消毒は、感染症を防ぐために極めて重要です。まず、ゴム手袋とマスクを着用し、泥や汚物などを雑巾で取り除きます。その後、家庭用塩素系漂白剤(主成分:次亜塩素酸ナトリウム)を薄めた消毒液で床や壁を拭きます。
消毒液の濃度は、製品の表示を確認し、0.05%から0.1%になるように水で希釈します(例:塩素濃度5%の漂白剤なら、水5Lに対しペットボトルキャップ2杯程度)。消毒液で拭いた後は、10分ほど置いてから固く絞った雑巾で水拭きし、最後に窓を開けてしっかりと換気・乾燥させましょう。
NG行為:熱湯・酸性×塩素の混合・無理な押し流し
逆流時に慌ててやってしまいがちなNG行為があります。これらは状況を悪化させるだけでなく、非常に危険なため絶対に避けてください。
- 熱湯を流す
- 詰まりを溶かそうと熱湯を注ぐと、便器が温度変化でひび割れたり、排水管(特に塩ビ管)が変形したりする原因になります。
- 酸性洗剤と塩素系洗剤の混合
- 「混ぜるな危険」の表示通り、酸性タイプの製品と塩素系の漂白剤などが混ざると、有毒な塩素ガスが発生し、命に関わる危険があります。
- 無理に押し流そうとする
- ラバーカップなどで無理に圧力をかけると、詰まりがさらに奥へ移動したり、公共下水道が満水の場合は汚水がさらに激しく噴出したりする可能性があります。
トイレの水が逆流したときの対処法
「豪雨や屋外桝の満水が疑われる」場合は本節の作業は行わず、上の『緊急時の初動テンプレ』に従って“封鎖&使用中止”へ。

トイレの水が逆流するのは、つまりが原因となる場合がほとんどです。原因を回避することで、逆流も防げます。以下は、トイレの水が逆流したときの対処法です。
- バケツで水を入れて流す
- お湯を流す
- ラバーカップを使う
- 便器用オーガー(ハンドスパイラル)を使う
- パイプクリーナーを使う
バケツで水を静かに注ぐ
軽微な紙詰まり等に限定。豪雨・満水時は実施不可

バケツに水を入れて流すことで、トイレのつまりを解消できる場合があります。バケツに半分くらいの水を入れて、腰の高さからトイレに流します。
バケツはどの家庭にもあるため、トイレのつまりをすぐに対処したいときに便利です。改善されない場合は、以下に紹介する方法を試すか、業者に修理を依頼しましょう。
お湯を流す(“熱湯”は厳禁/50℃前後のぬるま湯)
水の代わりにお湯を流すのも有効です。50℃のお湯をトイレに流せば、汚物を溶かせます。お湯に重曹と酢を混ぜて注ぎ30分間放置した液体であれば、さらに汚物が溶けやすくなります。重曹と酢をお湯に入れる場合の割合は以下のとおりです。
項目 | 量 |
重曹 | 4分の1カップ |
酢 | 100ミリリットル |
お湯を使用する際は温度に注意しましょう。熱湯を流すとパイプを傷つける恐れがあります。適温は50℃です。お風呂のお湯は42℃程度が一般的です。
トイレのつまりをお湯で解消する際は、お風呂のお湯より少し熱いくらいが適温だと覚えておきましょう。頑固なつまりには、放置時間を1時間に延ばすのも有効です。
- メーカー注意
- 便器(衛生陶器)に熱湯は注がない。ひび割れ・破損・漏水の原因。(TOTO株式会社)
ラバーカップを使う

つまりを解消する方法として、ラバーカップを使うのも有効です。異物を引っ張り出してつまりを解消します。ラバーカップはスッポンとも呼ばれており、100円ショップやホームセンターなどで購入できます。ラバーカップを使用してつまりを解消する手順は以下のとおりです。
- トイレ内を養生する
- トイレ内部にカップを密着させる
- 力強く引っ張る
- 水を流す
上記②・③の動作を繰り返して、異物が逆流してきたらゴム手袋を着用して取り除きます。ただし、スマートフォンやアクセサリーなど、水に溶けない異物はトイレ内部や排水管などを傷つける恐れがあるため、業者に依頼して取り除いてもらいましょう。
ラバーカップには洋式用・和式用があります。ご自宅のトイレに合うラバーカップを使用してつまりを解消してください。


YAMAZAKIチャンネル
ラバーカップの使い方(トイレのつまり取り)
便器用オーガー(ハンドスパイラル)を使う

便器用オーガー(ハンドスパイラル)もトイレのつまりを解消してくれる道具です。トイレ内部の奥につまった異物を細かく削り、流れを良くします。ペット用の砂やトイレットペーパーなどがつまった際に有効です。ワイヤーブラシを使う場合の手順は以下のとおりです。
- トイレ内部または排水口に便器用オーガー(ハンドスパイラル)のヘッド部分を差し込む
- 便器用オーガー(ハンドスパイラル)が異物に接触したら柄を回して削る
- つまりが解消して水位が下がってきたら水を流す
便器用オーガー(ハンドスパイラル)で削れる固形物は限られます。置物やおもちゃなど、固く水に流れない異物は削れません。対象物は、水に流れる食べ物やトイレットペーパーなどです。
生活水道センター
トイレつまりワイヤーブラシで直す方法
パイプクリーナーを使う
パイプクリーナーを使えば、トイレにつまった食べかすや紙などを溶かせます。使用する際は、以下の手順でつまりを解消しましょう。
- 説明書に記載されている量のパイプクリーナーを入れる
- 30分~1時間放置する
- トイレの水を流す
パイプクリーナーは、トイレの清掃を怠ったことにより発生したヌメリやニオイなども除去できます。ただし、使う際は、以下の項目に注意しましょう。
- 放置時間を守る
- 安全対策をする
- 酸素系洗剤との同時使用は避ける
パイプクリーナーを使う際は、記載されている放置時間を守りましょう。長時間放置した場合、溶けた異物が固まり排水管をつまらせる原因になります。
パイプクリーナーは塩素系であるケースが大半です。酸素系洗剤を混ぜると、有毒ガスを発生させる原因になるため危険です。使用する際は注意事項を守りましょう。換気したりゴム手袋を着用したりといった安全対策も行った上で使用してください。
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トイレの水が逆流したときに業者を呼ぶべき3つの状況


トイレの水が逆流したときは、自分で解消できない場合もあります。自分で解消できなければ、業者を呼んで修理してもらうのが得策です。以下の状況においては業者を呼ぶべきです。
- つまっている異物が見えない
- 逆流が止まらない
- 自然災害による逆流で対処できない
業者に依頼すれば、適切かつ迅速に対応してくれます。無理に自分で改善しようとすると、状況が悪化するリスクもあります。手に負えない状況に陥った際は、業者に依頼しましょう。
つまっている異物が見えない

つまっている異物が見えない場合は、排水管の奥につまっている可能性があります。排水管の奥につまっている異物が見えない状態では、適切な対処はできません。トイレが故障している可能性もあります。
業者に修理を依頼すれば、専門の機械を使って異物の位置やつまりの原因を特定して解消してくれます。自分で無理に解消しようとすると、排水口を傷つけたり異物をさらに奥へ押し込んでしまうリスクがあるため注意が必要です。つまっている異物が見えないときは、業者に修理を依頼するのが得策です。
逆流が止まらない

逆流が止まらない場合も、業者を呼ぶべきです。逆流が止まらない場合、排水ポンプが故障している可能性もあります。排水ポンプの故障を修理するためには、専門家の知識が必要です。
トイレ以外の場所からも水が逆流して止まらない場合は、屋外に設置されている排水桝がつまっている可能性もあります。排水桝のつまりは機械を使って除去する必要があるため、プロの手を借りましょう。
自然災害による逆流で対処できない
自然災害によりトイレの水が逆流している場合も、業者を呼びましょう。台風や豪雨の影響で大量の水が流れ込み、出口を失ったことで逆流している可能性があります。地震で地面が揺れたことにより、排水管や下水管などが破損しているケースも考えられます。自然災害が原因で逆流している場合も、業者に依頼しましょう。
集合住宅の“連絡順”と責任分界(専有/共用の早見)

マンションやアパートなどの集合住宅でトイレが逆流した場合、戸建て住宅とは異なる注意点と対応手順があります。原因が自分の部屋(専有部分)にあるのか、建物全体(共用部分)にあるのかで、連絡先や費用の負担者が変わってくるため、その見極めが重要です。
- まず管理会社へ(立管・PSなど共用起因の可能性)
- 標準管理規約の考え方(共用は組合負担/専有との切り分け)
- 戸別負担/管理組合負担の切り分け例(逆流時の実務)
まず管理会社へ(立管・PSなど共用起因の可能性)
集合住宅でトイレの逆流が起きたら、まず最初に連絡すべきは管理会社または大家さんです。その理由は、自分自身の過失ではなく、建物全体の排水管である「共用立管(たてかん)」の詰まりや異常が原因である可能性が高いからです。
共用立管は各住戸の排水を集めて下水道へ流す縦方向のパイプで、パイプスペース(PS)内に設置されています。ここで詰まりが発生すると、詰まった箇所より下の階、特に最下層に近い階の部屋で逆流が発生しやすくなります。自分だけでなく、上下階の部屋にも影響が及ぶ可能性があるため、迅速な情報共有と全体での対応が必要です。
標準管理規約の考え方(共用は組合負担/専有との切り分け)
どこまでが個人の責任(専有部分)で、どこからが管理組合の責任(共用部分)なのかは、マンションの管理規約で定められています。国土交通省が示す「マンション標準管理規約」では、一般的に、各住戸の床下を通る「横枝管」と、各階を縦に貫く「立管」の接続部分までが専有部分とされています。
つまり、トイレの便器自体や、床下の配管は個人の責任範囲ですが、それが合流する共用立管は管理組合の責任範囲となります。逆流の原因が共用立管にある場合は、その修理費用は管理組合が負担するのが一般的です。自己判断で業者を呼ぶ前に、必ず管理会社に連絡し、原因の切り分けを依頼しましょう。
戸別負担/管理組合負担の切り分け例(逆流時の実務)
実際の逆流トラブルにおける費用負担の切り分けは、原因の所在によって決まります。
戸別負担となるケース
- トイレットペーパー以外の異物(おむつ、ペットの砂、固形物など)を流したことによる、自室内の配管詰まり。
- 便器自体の故障や不具合。
この場合、修理費用や、万が一下の階へ水漏れ被害を与えてしまった場合の賠償責任は、原因を作った本人が負うことになります。
管理組合負担となるケース
- 共用立管の経年劣化による詰まりや破損。
- 大雨による公共下水道からの逆流(内水氾濫)。
- 定期的な配管清掃の不備など、管理組合の維持管理責任に起因する場合。
これらの場合は、管理組合が加入している火災保険(施設賠償責任保険特約など)が適用されることもあります。
大雨・台風時の逆流対策(内水氾濫に備える)

ゲリラ豪雨や大型台風の際に発生するトイレの逆流は、その多くが「内水氾濫」によるものです。下水道の処理能力を超える雨水が、宅内の排水口からあふれ出すこの現象に備えるため、事前の準備と正しい知識が重要になります。
- 発生メカニズム(合流式/分流式・半地下のリスク)
- 事前準備チェック(水のう・止水板・屋外桝清掃)
- 半地下・地下トイレの恒久対策(排水ポンプ等)
- 警報時の運用ルール(使わない・封水保持)
発生メカニズム(合流式/分流式・半地下のリスク)
下水道には、汚水と雨水を同じ管で処理する「合流式」と、別々の管で処理する「分流式」があります。特に都市部で多い合流式の場合、大雨が降ると下水管内の水位が急上昇し、汚水を含んだ水が逆流しやすくなります。
道路より低い位置にある半地下や地下のトイレは、構造上、特に逆流のリスクが高まります。建物内で最も低い位置にあるため、逆流してきた水が最初に到達しやすい場所だからです。ご自宅の立地や下水道の方式を理解し、リスクを認識することが対策の第一歩です。
事前準備チェック(水のう・止水板・屋外桝清掃)
大雨や台風が予測される場合、被害を未然に防ぐために以下の準備をしておきましょう。
- 水のうの準備
- 45L程度のゴミ袋を二重にし、中に半分ほどの水を入れて空気を抜いて口を固く縛ります。これを便器の中や、風呂場・洗濯機の排水口の上に置くことで、逆流してくる水圧に対抗できます。
- 止水板・土のうの設置
- 玄関や車庫など、浸水の恐れがある場所に設置します。水の侵入を物理的に防ぐ最も効果的な方法の一つです。
- 屋外桝の清掃
- 戸建ての場合、敷地内の排水桝に落ち葉や泥が溜まっていると、排水能力が低下し逆流を助長します。定期的にフタを開けて清掃しておきましょう。
半地下・地下トイレの恒久対策(排水ポンプ等)
半地下や地下室など、逆流のリスクが特に高い場所では、より恒久的な対策が推奨されます。具体的には、汚水を一旦タンクに貯め、ポンプで強制的に公共下水道へ排出する「排水ポンプ槽」の設置が有効です。
排水管の途中に「逆流防止弁」を取り付ける方法もあります。これは、下水が逆流してきた際に自動でフタが閉まり、宅内への侵入を防ぐ装置です。どちらも専門的な工事が必要となるため、専門業者に相談し、建物の状況に合った設備を導入しましょう。
警報時の運用ルール(使わない・封水保持)
大雨警報や洪水警報が発表されたら、逆流のリスクを減らすために排水設備の利用を最小限に抑えることが鉄則です。以下の3つのルールを徹底してください。
- 水を流さない
トイレはもちろん、キッチンやお風呂、洗濯機など、大量の水を一度に流す行為は避けてください。宅内からの排水量が減ることで、下水道本管への負担を少しでも軽減できます。 - トイレを使わない
やむを得ない場合を除き、トイレの使用は控えましょう。万が一逆流が始まった際に、汚物があふれ出る二次被害を防ぐためです。 - 封水を保持する
水のうを設置し、便器や各排水口からの逆流を防ぎます。水のうが封水の役割を補強し、下水管からの空気の噴出や水位の上昇を抑える効果が期待できます。
トイレの逆流を防ぐ対策

トイレの逆流を防ぐためには、以下の対策を実行するのが有効です。
- 適切な量の水を流す
- 水に溶けるものでも大量に流さない
- 大雨による逆流には水のうを活用する
日頃のちょっとした心がけで、逆流を防げます。排水管の清掃を定期的に行うのもおすすめです。対策を把握しておけば、つまりを回避できます。
対策した上で排水管に逆流防止装置を設置するのも、一つの方法です。トイレのつまりを防ぎ、水が逆流するのを回避して快適な生活を送りましょう。
適切な量の水を流す

適切な量の水を流すことで、トイレのつまりを回避できます。トイレは流水量を計算した上で製作されています。節約のために、数回使用してから水を流したり少量の水しか流さなかったりするのはタブーです。大量のトイレットペーパーを流すのも避けましょう。
不適切な水量によって、トイレ内部や排水管に汚れが蓄積し、つまりの原因になります。トイレは使うたびに流し、排便をしたら「大」レバーで水を流しましょう。トイレットペーパーは小分けに流したり、燃えるゴミで処理したりするのが有効です。節水型トイレも同様です。
» トイレの水位低下の原因と解消するポイント
水に溶けるものでも大量に流さない

トイレクリーナーやトイレットペーパーは、水に溶ける素材で作られています。ただし、大量に流すとつまりの原因になるため、小分けに流しましょう。
生理用品やおむつは水分を吸収し膨張するため、排水管をつまらせる原因になります。生理用品やおむつなどは「溶ける」と書かれていても、トイレに流さないのがベストです。屋外の排水桝のつまりが原因で、トイレの水が逆流する場合もあります。食器用洗剤やシャンプーなどを大量に流すのも控えましょう。
少しの心がけで大きなトラブルを防げます。快適な生活を送るために、適量を確認したうえで使用しましょう。
大雨による逆流には水のうを活用する
大雨による逆流には水のうを活用しましょう。逆流を防ぐ緊急対応として活用可能です。トイレのつまりにより、水が逆流した際の被害を最小限に抑えられます。水のうはWebサイトやホームセンターでも販売されていますが、ポリ袋でも作れます。ポリ袋を使用した水のうの作り方は以下のとおりです。
- 45リットルのポリ袋を用意する
- 2~3重に重ねる
- ポリ袋の半分まで水を入れる
- 空気が入らないようポリ袋を縛る
大雨による逆流を防ぐためには、水のうが有効です。水のうを排水口に置いたりトイレ内部につめることで、逆流を防げます。大雨が予想されるときは、事前に準備することで逆流のリスクを減少できます。
使用後は水を抜いて乾燥させれば再利用可能です。水を抜いた状態であれば、保管も簡単で場所も取りません。日頃から気象情報を確認して、大雨による逆流にそなえましょう。リアルタイムでチェックできる「洪水予測システム」を活用するのも有効です。
【解説】今からできる台風への「備え」 下水の逆流を防ぐ「水のう」を活用しよう
日テレNEWS
恒久対策の選び方(設備的アプローチ)

一度逆流を経験したり、リスクの高い立地に住んでいたりする場合、応急処置だけでなく、再発を防ぐための恒久的な対策を検討することが重要です。ここでは、代表的な逆流対策設備とその選び方について解説します。
- 逆流防止弁をどこに入れるか(宅地内最下流桝/最上流桝)
- 圧力開放蓋で“空気の逃げ場”を作る
- 封水深と通気の見直し(破封対策)
- 年次点検と屋外桝の維持管理
逆流防止弁をどこに入れるか(宅地内最下流桝/最上流桝)
逆流防止弁は、下水の本管から水が逆流してきた際に、自動で弁が閉じて宅内への侵入を防ぐ装置です。設置場所によって効果が変わるため、目的を明確にする必要があります。
一般的なのは、敷地内で最も下流側、つまり公共桝(ます)の直前に設置する方法です。これにより、公共下水道からの広域的な逆流(内水氾濫など)に対して家全体を守ることができます。一方、特定の排水口(例えば地下室のトイレのみ)を守りたい場合は、その器具の最上流側に設置することもあります。専門業者と相談し、最も効果的な設置場所を検討しましょう。
圧力開放蓋で“空気の逃げ場”を作る
豪雨時に排水管内の空気が圧縮され、排水口から「ボコボコ」と音が鳴るようなケースでは、圧力開放蓋(あつりょくかいほうがた)の設置が有効です。これは、排水桝のフタを、一定以上の圧力がかかると蓋の一部が持ち上がって空気を逃がす特殊な蓋に交換するものです。
これにより、圧縮された空気が宅内の排水口へ向かう前に、屋外で安全に排出されます。水の逆流を直接止めるものではありませんが、空気圧による封水(便器に溜まった水)の破壊や、水の噴き上げを抑制する効果が期待できます。比較的安価で設置も簡単なため、導入しやすい対策の一つです。
封水深と通気の見直し(破封対策)
便器の水位が頻繁に変動したり、下水の臭いが上がってきたりする場合は、排水システムの通気系統に問題がある可能性があります。このような状態は「破封(はふう)」と呼ばれ、封水が正常に保たれていないサインです。
対策としては、排水管の先に通気管を設け、屋外に開放することで配管内の気圧を安定させる「通気改修」が挙げられます。また、JIS規格では便器の封水深が定められており、古い便器や海外製の便器ではこの深さが不足していることもあります。専門家による診断を受け、根本的な原因を解決することが重要です。
年次点検と屋外桝の維持管理
どのような優れた設備を導入しても、定期的なメンテナンスを怠れば、いざという時に機能しない可能性があります。特に逆流防止弁は、汚物やゴミが弁に挟まることで正常に作動しなくなることがあるため、年に1回程度の点検と清掃が推奨されています。
戸建ての場合は、敷地内の排水桝の定期的な清掃が不可欠です。桝の内部に油脂や汚泥が蓄積すると、それが詰まりの原因となり、逆流のリスクを高めます。日頃から排水設備に関心を持ち、適切な維持管理を続けることが、最も確実な逆流対策と言えるでしょう。
逆流トラブルに備えよう!修理費用の相場と信頼できる業者選びのポイント

水回りのトラブルの中でも、排水口の逆流は深刻な問題です。発生すると衛生的にも悪影響を及ぼし、早急な対応が求められます。本記事では、逆流トラブルの修理費用の相場や業者選びのポイント、さらに自力での対処方法について詳しく解説します。
- 業者へ依頼した場合の修理費用の目安
- 失敗しない業者選びのチェックポイント
- 保険の活用も視野に入れよう
業者へ依頼した場合の修理費用の目安
逆流トラブルの修理費用は、詰まりの程度や工事の規模によって異なります。一般的な料金相場は以下の通りです。
トラブルの程度 | 修理費用の目安 |
軽度の詰まり | 約4,000円~1万円 |
中程度の詰まり(高圧洗浄) | 約15,000円~30,000円 |
大規模な修理(排水管交換など | 数万円~10万円以上 |
修理費用を抑えるためにも、トラブルの早期発見・対処が重要です。
POINT
- 出張費や休日・夜間対応費が別途かかる業者も多いため、依頼前に見積もりの内訳をしっかり確認しましょう。
- 複数社から相見積もりを取り、料金や対応を比較検討することをおすすめします。
失敗しない業者選びのチェックポイント

業者選びを誤ると、高額な請求や不適切な修理が行われる可能性があります。以下のポイントをチェックし、信頼できる業者を選びましょう。
- 水道局指定業者か確認する
- 指定業者であれば、技術力や信頼性が保証されています。
- 見積もりが明確であること
- 見積もりの内訳(工事費・材料費など)が明示されているか確認しましょう。
- 口コミや評判をチェックする
- 実際の利用者のレビューを参考に、業者の対応や施工品質を把握します。
- 現場調査の有無
- 現場をしっかり確認し、適切な修理方法を提案する業者を選びましょう。
- アフターサービスの提供
- 保証制度がある業者なら、万が一のトラブル発生時も安心です。
保険の活用も視野に入れよう

トイレの逆流による被害の中には、保険で補償が受けられるケースがあります。ただし、保険商品や契約内容によって差があるため、「すべて補償される」とは言い切れません。
- 台風や豪雨など自然災害による下水の逆流
- 地震で配管が損傷し、それによって被害が出たケース
上記のような災害を起因とした被害は、保険の対象となる可能性があります。ただし、保険会社や加入プランによっては補償されない場合も多いため、保険証券の内容を確認し、よくわからない場合は保険会社に問い合わせてみましょう。
POINT
- 保険金請求を行う際は、被害状況を撮影し、写真や動画で残しておくとスムーズです。
- まずは契約内容を再確認し、不明点は保険会社に相談してください。
トイレの水が逆流する関するよくある質問

- トイレの水が逆流する原因は何ですか?
- トイレの水が逆流したときの応急処置は?
- ラバーカップを使っても詰まりが解消しない場合は?
- トイレの逆流を防ぐための予防策は?
トイレの水が逆流する原因は何ですか?
トイレの水が逆流する主な原因は以下の通りです。
- 排水管の詰まり
- トイレットペーパーの使いすぎや異物(おもちゃ、生理用品など)が排水管に詰まることで、逆流が発生します。
- 排水管の劣化や破損
- 長年の使用による配管の劣化や、物理的な損傷が原因で正常に排水されず、逆流が起こることがあります。
- 下水道のトラブル
- 地域の下水管が詰まっている、または豪雨による下水の逆流が原因で、トイレの水があふれることがあります。
トイレの水が逆流したときの応急処置は?

トイレの水が逆流した際は、以下の手順で対処しましょう。
- 止水栓を閉める
便器への水の供給を止め、さらに水があふれるのを防ぎましょう。 - 電源を切る
ウォシュレットなど電気機器の電源をオフにし、感電を防ぎましょう。 - 汚水を取り除く
ゴム手袋を着用し、汚れた水をペーパータオルや使い捨ての布で拭き取ります。 - 消毒を行う
逆流した水には細菌が含まれている可能性があるため、消毒液(塩素系漂白剤を薄めたものなど)でしっかり除菌しましょう。
ラバーカップを使っても詰まりが解消しない場合は?

ラバーカップを使っても詰まりが解消しない場合の対処法
- 高圧洗浄機を使用
- 強い水圧で詰まりを解消する方法です。
- 重曹とお酢を使う
- 排水口に重曹を入れ、その上からお酢を注ぎ、数時間放置すると詰まりが溶けやすくなります。
- 専門業者に依頼する
- 自分で対応できない場合は、水道修理の専門業者に依頼すると安全かつ迅速に解決できます。
トイレの逆流を防ぐための予防策は?

トイレの逆流を未然に防ぐためには、以下の点に注意しましょう。
予防策 | 詳細 |
異物を流さない | トイレットペーパー以外のもの(おむつ、生理用品、ティッシュペーパーなど)は流さないようにしましょう。 |
適量の水を流す | 一度に大量のトイレットペーパーを流さないよう注意し、しっかり水を流すことで詰まりを防ぎましょう。 |
定期的な排水管の点検 | 配管の劣化や異常がないか定期的にチェックし、問題があれば早めに対処しましょう。 |
環境の影響を考慮する | 大雨が降った後は、排水の流れを確認し、異常があれば早めに対策を講じることが大切です。 |
これらの対策を実践することで、トイレの逆流を防ぎ、快適なトイレ環境を維持することができます。もしトイレの逆流が頻繁に起こる場合は、早めに専門業者に相談しましょう。
まとめ

トイレの水が逆流する原因は、つまりである場合が大半です。つまりの原因を取り除くことで、逆流も回避できます。以下の項目を心がけることで、つまりを防げます。
- 適切な量の水を流す
- 定期的に清掃して汚れを落とす
- 大量のトイレットペーパーは小分けに流す
- 水に溶ける商品でも燃えるゴミで処理する
注意していてもつまるケースもあります。つまった場合は、以下の対処法を講じましょう。
- バケツを使って水を流す
- お湯を流す
- ラバーカップや専用工具を使用する
- 市販のパイプクリーナーを試す
上記の対処法を試みても解消しない場合は、業者に依頼するのが得策です。自然災害や固形物のつまりによる逆流は、専門知識を持つプロに依頼してください。